「ロボット・ドリームズ」は泣ける!、静かな感動が口コミで広がり、全国で上映する映画館が増えているとエンタメ紹介番組で偶然見て、
「セリフのないアニメ映画で、泣ける程の感動ストーリーってどんなのだろう?」と興味を持ち、劇場に観に行きました。
正直に言うと、私は泣きませんでした。

でも、2025年に観た映画の中で一番忘れられない作品でした。
ラストシーンは胸の奥が苦しくなり、観終わったあとも胸が締めつけられるような感覚が残り、しばらくその余韻が抜けませんでした。
CMで’September(セプテンバー)’の曲が流れると切なくなり、何度も映画の場面を思い返して何とも言えない気持ちになりました。
「ロボット・ドリームズ」は「タイタニック」や「ニューシネマパラダイス」のような泣ける感動映画とは少し違いますが、“感情が動いた”という意味では私も深く感動したと言えます。
この映画は、観る人それぞれの記憶や経験を呼び起こします。いろいろなことを考えさせられ、様々な感情がこみ上げて来る作品です。
「ロボットドリームズ」は世界中で称賛され、数々の賞を受賞したようですが、高評価の一方で、”つまらない”、”面白くない”という感想があるのも確かです。
「ロボット・ドリームズ」は本当に泣ける映画なのか?
実際に観て感じた様々なことを、正直に書いていきます。(ネタバレなし)
「ロボット・ドリームズ」は泣ける映画なのか?
「ロボット・ドリームズ」は泣ける感動映画だと紹介されていたので、ハンカチタオル持参で映画館に行きましたが、うるうるっと来る程度で涙はこぼれませんでした。
でもミニシアターの会場内では控えめに鼻をすする音が複数聞こえたので、泣ける映画だというのはうそではないでしょう。
ただ、劇場版「鬼滅の刃」無限列車編を観た時は号泣しました。パンデミック渦中で映画館内は全員マスクでしたが、周りの観客たちも涙、涙、そして嗚咽。
それに比べるとすすり泣き程度の方がちらほらだったので、泣ける映画ランキングでは上位ではないかも!?
号泣する映画ではないけれど、胸が苦しくなる理由
上記のように、「ロボット・ドリームズ」は涙が止まらなくなるような映画ではないかもしれません。
しかし、誰にとっても感情を揺さぶられる映画だと言えるでしょう。
私自身は泣くほどじゃないけれど、圧倒的に胸が苦しくなり、観終わった後しばらくの間余韻が残りました。そしていろいろ考えさせられる映画だと思いました。
映画を観ている途中から胸の奥がじわじわと苦しくなり、最後のシーンでは何と表現してよいかわからない感情と切なさで胸がいっぱいになり、胸から喉にかけて息苦しく感じる程。
「ロボット・ドリームズ」で描かれるドッグとロボットの姿に、誰もが自分の経験や記憶を重ねて、何かを感じたり、考えたりするはずです。
私は「感動した」という一言ではまとめきれない様々な感情や考えが一挙に押し寄せたことに驚きつつ、それらをいっぺんに処理しきれずに、圧倒され、胸が苦しくなったのではないかと思います。
「泣ける=涙」とは限りませんよね。
観た後に残ったのは切なさと長い余韻


なぜこんなにも感情が揺さぶられるのか
「ロボット・ドリームズ」にはセリフがありません。
セリフがないからこそ、主人公たちの思いを言葉で理解するのではなく、より”強く感じる”のかもしれません。
さらにこの映画が素晴らしいのは、シンプルだけど精巧なアニメーションが、主人公たちの表情やしぐさで彼らの感情を表し、音楽がその表現力を助長している点です。
鑑賞する観客それぞれが、自分の経験・過去の出来事や思い出・現状などのフィルターを通じて、主観で映画のメッセージを自由に受け取ることができます。
観る人によって異なる感情を呼び起こし、各々が自分自身や自分の人間関係を振り返ったり、思いを巡らせたりしてしまう。
それが「ロボット・ドリームズ」の魅力であり、日本でも予想外に大ヒットし、ロングランとなった人気の理由かもしれません。
言葉がないからこそ考えさせられる映画
ドッグとロボットのストーリーに対して切なさややるせなさを感じるとともに、幸せや喜びも感じました。二人の関係性に羨ましさも感じました。
以下のような問いかけが次から次へと頭に浮かんできては、考えて、また新たに感じて、その余韻からしばらく抜け出すことができなくなります。
- これまでの友達でドッグとロボットほど強烈にお互いを想い合う友情を築いたことがあった?
- 今の私に本当の友達と呼べる人はいる?誰?本当の友情ってどんなもの?
- あんなに毎日一緒にいてあんなに仲良かった昔の友達は今どこで何をしているのだろう?
- 疎遠になってもう会う機会がなくても、忘れられない大切な思い出があれば今でも友達って言える?
「ロボット・ドリームズ」は誰の人生にも起こり得る出来事や体験の一部ではないでしょうか。
ドッグ(擬人化された犬)にもロボット(擬人化された機械)にも名前がないのは、私たちの誰もが生きていく過程で味わう様々な気持ちを、彼らの経験を通じてより強く感じさせるための製作者の意図かもしれません。
人は誰でも孤独です。家族や友達や恋人や同僚がいても「個」の人間としては生まれてから死ぬまでひとりで、孤独を一度も感じたことがない人はいないでしょう。
一方、人は人がいなければ生きていけません。社会との接触を完全に遮断することはできず、人間関係で喜びや幸せを感じることもあれば、苦しみや悲しみを抱えることもあります。
音楽(September)に揺さぶられる感情
この映画の余韻をさらに強くしているのが音楽です。
セリフがない分、各シーンで音楽が効果的に使われている印象でした。
映画を思い出すたびに、Earth, Wind & Fireの「September」の最初のフレーズ、”Do you remember? ”が頭に浮かび、胸がきゅっと苦しくなります。
明るく軽快なイメージだったのに、「ロボット・ドリームズ」を観た後は、切ない曲のように聞こえます。
音楽の力はすごい!多くを語らなくても、観る人それぞれの記憶を呼び起こし、感情を揺さぶる力があるのだと、改めて感じさせられました。
ロボットとの友情が当たり前になる未来
私は「ロボット・ドリームズ」を観ながら、カズオ・イシグロ氏の『クララとお日さま』を思い出しました。
近年物凄いスピードでロボット技術が進化しているし、特にここ数年生成AIやフィジカルAIの発展は目覚ましく、個人的には予想より早く人間とロボットが共存する社会が来るような気がしています。
数年前に『クララとお日さま』を読んだ時、将来、人間とロボットが一緒に生活するようになれば、人間とロボットの友情も当たり前のことになるのではないかと思いました。
人と人との人間関係も良い面、悪い面があります。
人間とロボットの関係も同じようにメリット、デメリットがあります。



それに加えて、人間とロボットの関係にはどうしても切なさが伴います。
「ロボットドリームズ」を観ながら『クララとお日さま』でも感じたさまざまな感情を思い出し、どちらのロボットにも共通する純粋さや健気さに愛おしさを感じずにはいられませんでした。
両方とも温かさと寂しさ、優しさと切なさを併せ持つ素敵な作品です。
「ロボット・ドリームズ」はつまらない?面白くない?評価が分かれる理由
私は通常観たい映画は直観で決めるので、観る前も後もほとんど口コミを読むことはありません。
でも「ロボットドリームズ」はあまりに胸が苦しくなったので、その原因は何なのか知りたくなり、他の人はどう感じたのかな?と興味を持ち、観た後に感想や口コミを読みました。
高評価の口コミ(泣ける・刺さった・感動)
- セリフがないのに感情が伝わる
- 音楽と映像が美しい
- 大人向けのアニメ映画
- 観終わった後に考えさせられる
- 80年代のNYにノスタルジーを感じた
低評価の口コミ(つまらない・面白くない)
- 同じような繰り返しが多く感じて途中で飽きてしまった
- 何が言いたいのか分からない
- 結末に納得できなかった
- ハッピーエンドかどうか判断できずモヤモヤする
- 曖昧な感じでスッキリしない
人それぞれ好みがあるので、そう感じる人がいても全く不思議はありません。
この映画はテンポが良いとは言えないし、セリフがないので受け止め方はすべて観客に委ねられていて、結末にも賛否両論があります。
ただ、個人的に意外だったのは
という感想が予想外に多かったこと。
確かに、要領が悪かったり、注意力が足りなかったり、少々どんくさいというか、欠点が目につく点は否めません。
きっとドッグが嫌いで映画もつまらないと感じた方は、「フツーの人ならそんなことしないよ!」「こういう人は苦手だな…」とダメな面にフォーカスしてしまったせいかと思います。
それが良い悪いではなく、映画の好みも感想も口コミも十人十色。どう感じるか、どう考えるかは人それぞれです。
私はむしろ、なかなか行動力がある点に感心しました。現状打破のためにアクションを起こすことは案外難しことです。ドッグなりに相当頑張っていた気がします。(たとえそれが空回りであっても!)
また、ドッグのせいであのような展開になってしまったというよりは、
ロボットが「ロボット」であることを忘れるくらい夢中で楽しい時間を過ごしていた=ドッグにとってロボットは「ロボット」ではなく本当の友達だった=二人にとって最高に幸せな時間だった
ように感じました。
楽しすぎて羽目を外してしまい、痛恨のミスをしてしまうなんて人間らしくありませんか?
人は誰でも完璧ではないから、ドッグはある意味私たちの持つさまざまな面を象徴しているような、「人生ってそういうこともあるよね。」と思わずにはいられない点が多々ありました。
どんな映画でもたいてい評価が分かれます。「ロボット・ドリームズ」は万人受けしないかもしれませんが、以下のような方には深く心に残る映画かなと思います。
「ロボット・ドリームズ」はこんな人におすすめ
- 「泣ける映画」を探しているけど、号泣するほどじゃなく静かな感動がいい
- ピングー(PINGU)やモルカー(PUI PUI モルカー)が好き
- 一人で映画を観る時間が好き
- 切なさや余韻を大切にしたい
- 文学作品や哲学的なテーマが好き
- 観終わった後に誰かと感想を語りたくなる映画が好き
ピングーやモルカーは完全に個人的な好みですが、ドッグとロボットのイラスト(背景や些細な部分のイラストを含む)のタッチにも共通点を感じました。



どこかハートウォーミングで、優しくて、クスッと笑えるようなユーモアも兼ね備えているのに、たまに切ない。
純粋に「ロボット・ドリームズ」のイラストが好き!
この映画の空気感、この世界観が好きな人なら、ドッグとロボットのグッズも、手元に置きたくなっちゃいますよね。
ロボット・ドリームズ Blu-ray豪華版 スペシャルボックス(完全数量限定)の「ロボットとドッグなかよしフィギュア」「ずっといっしょ アクリルスタンド」が気になって仕方がありません。
「ロボット・ドリームズ」はどこで見れる?何で見れる?
残念ながら劇場での上映は終了してしまいましたが、「ロボットドリームズ」は以下のサービスで視聴できます。
- Amazon Prime Video(レンタル/購入)
- U-NEXT(定期購入/アドオンが必要)
- Apple TV
- Google Playムービー
- Hulu
- TELASA
- YouTube
- Blu-ray・DVD
「ロボット・ドリームズ」の原作は本
「ロボットドリームズ」には原作があると知り、興味を持って調べてみると、原作コミックが日本限定のスペシャル仕様で出版されていました。
著者のサラ・バロン氏が日本版のためにカバーイラストを描きおろしてくれたなんてすごい!ドッグとロボットがNYから日本に遊びに来たみたいでほのぼのしますね。
個人的には原作も読んでみたいなと思っています。オリジナルの本は映画とはまた違う良さや魅力があって、音楽がない分インスピレーションがわきやすいかも!?
パブロ・ベルヘル監督からのメッセージ
映画を観に行った後、偶然テレビで監督のインタビューを見ました。
「何度も何度も繰り返し観て、新たな発見をしてほしい」という言葉が印象に残っています。
複数回観ることで、一度観ただけでは気付かない新たな発見や、見逃していた場面を見つける喜びがあるのでしょう。きっと観るたびに違う感情がわいてきたり、何度目かで見えてくる何かがあるのかもしれません。
胸が苦しくなりすぎて2度目の鑑賞はまだですが、もう少し時が経ったらまた観てみたい映画です。
ちなみに、監督の奥さまは日本人だそうです。
エンドロールで日本人の名前を見つけて、何となく日本っぽいなと感じた理由が分かった気がしていましたが、監督と日本の深い繋がりを知り、腑に落ちました。
この映画に流れる、言葉に頼らない感情表現や間の美しさに、どこか日本的な感性を感じたのは、気のせいではなかったようです。80年代にNYにお住まいだったそうですよ。
まとめ:ロボットドリームズは「泣ける」というより「心に残る映画」
「ロボット・ドリームズ」は泣ける映画ではなかったけれど、深く心に残る映画でした。
胸が苦しくなるほど、切なさ、ノスタルジー、優しさ、哀愁、寂しさ、喜び、悲しみ、苦しみ、後悔、幸せ、愛おしさ等々、さまざまな感情が混じり合い、溶け合って、最後には昇華していくような不思議な魅力があり、長く余韻が残ります。
セリフはないけれど、映像もイラストも音楽も素晴らしく、感じること、考えることが満喫できます。
泣けるかどうかは別として、少しでも興味がわいたら、ぜひドッグとロボットの世界を観てみてほしいです。

